テーラーキダ
(兵庫県神戸市東灘区)
喜田 充 様
喜田 充 様
続けることですね。信号のない横断歩道の所で、小学生に「おはよう」と挨拶することを毎日25年続けていて、7時半から毎日小学校へ。今日も行ってきました。
やっぱりやってるとそういうルーティンになってるので、誰に言われたわけでもなく自分で始めようと思ってやったことだから続くんです。言われてはできませんよ。
喜田 充 様
僕の私服はパジャマとスーツだったんです。スーツとパジャマしかなかった。洋服にしてもちょっとカジュアル感になってくるやん。それと一緒。その時代とともに変わるものがあります。だけど、タキシードを着たらやっぱり格好良いなとか、それでいく場所があって、人がいて。それでそういうグループがあったらそこへみんなでタキシードの会があったらええやんとか。
喜田 充 様
テーマとしては今のものを今着るより、次の季節物ですわな。それは提案するために色であったり、素材であったりで背中から春夏もので言うことでしょう。それで何を作るか言うところ、次のシーズンを見据えて、自分がやっぱり着ていて。それがシックなものになるのか、はずれなものになるのかは別にして、提案。やっぱり新しいものを着てると、お客さんも「お、ええな」とか言うか、「このおっさんでこれだけ似合うねん、やったら俺はもっと似合うな」と思いよるから、それでええんちゃうかなと思う。その無言の提案をできれば、そういうのがいいのではとは思います。
喜田 充 様
半年くらい次のシリーズ。これから売るものの売るための着替えることをするし、またそれが欲しくなるものでしょうね。
喜田 充 様
カセンティーノのコートやな。これは後藤さんの名作やんか。これええねん。デザインもな。去年、今年といつ着てても「おでかけですか?」って言われる(笑)。
喜田 充 様
汚れとかも目立ちにくいしね。
最近、お客様とのことで印象的なことはございますか?
喜田 充 様
去年かな?コートの白をオーダーしたんです。これは不動産屋のお客さんですけど、30年ぶりくらいに会って。ある人の紹介で。間に入ってる人が、「そんな前から知っとんたんかい」と言って。
喜田 充 様
つながったよ。それで今年、去年、その人の会社の忘年会にも行ったし、今年も行くんです。それでこれはまた「乾杯の音頭をせい」と言われて。
喜田 充 様
その人は白が好きやんねん。
喜田 充 様
ダブルで、ボタンとかスワロフスキーのボタンやで、何してるねん。
喜田 充 様
裏も小さいボタン、このレントのところにして、実際に見たらめっちゃ光ってるから。
喜田 充 様
本当に怖い。中は黒の生地で、その黒にもこのボタンもその人が買ってきて「買うてきたで~キープしといてくれ」と言ってしてるんです。
そうやってファッションを楽しむお客さんが増えれば。
喜田 充 様
このお客さんが結婚したのは10年くらい前だけど、「よう儲けた」と言って去年に家を北区に建てて、それで自分の家の中で結婚式した。それにまた呼ばれまして。その30年いうのが結局、結婚するちょっと前だったんよ、「全部そろえてくれて」って。
喜田 充 様
そうそう。タキシードは白だから、白は難しいからはっきり言って伸びるコットンですよ。「それでいっときますわ」と言ってね。
家でやるというのはなかなかないですね。レストランウェディングはあっても自宅でやるのはそれだけ呼べるくらいの大きさということですよね。
喜田 充 様
話変わるけど、実は次男に見破られたんですけど、「お父さんは人見知りやな」と言うんですよ。あかんのは全然あかんのよ。
喜田 充 様
あるんです。だから例えば向こうから芸能人がもし歩いてきても、「あ!」と言えへんで。それを言ったらあかんと思うし、ものすごい恐縮してまうねん。芸人さんや漫才師とかが呼ばれてる場所へ行っても、「あ!」と言って行きたいけど、俺はもう洋服の用事で来てるんだからそんなのはいいわと言って、口も聞かないし、目もそらしてる。人見知りやねん。
喜田 充 様
俺は勉強したことないんですよ。
感覚で動きますよね。頭の回転が速いからパッと言えばパッと言葉が出る。芸人のようなあれですよね。
喜田 充 様
そうそう。これはたぶん昔から落語とか1人しゃべり。落語とかをラジカセとか、ラジオ、深夜放送とかで全部聞いてて、勉強しないでずっとそんなことばっかりしとったんや。
喜田 充 様
「おまえは向いてるな」と仲人に言われたことあります。でも、その割には儲からないから嫁さんが怒ってるんですよ。
でも正直な商売されてるから、お客さんがずっとついてくるんじゃないですか。
喜田 充 様
それでええと思ってるねん。打算と計算の付き合いは嫌やねん。その人となりというか、採寸はしますけど。その人がどんな性格か、どんな性分かというのはやっぱり分かった人と付き合いたいわね。贈答以外はね。
70周年になりますが、どんなふうにしていきたいですか?
喜田 充 様
自分の体とかを手入れして、やっぱり古臭いというか、おじいが作るのと違ってお客様にとってクリエイターではありたいわね。それは年がいった人から若い人まで全部ちゃんとこっちが当てはめられるような引き出しと知識もだろうけどね。傾向と対策をやっぱりお客さんに伝える。せやけど、オーダーはやっぱり「うちは1960年のファッションが好きやん」と言う人がおるんですよ。もうそこから動かへん、出ない。特殊だけど。「僕はあの時の時代が一番好きなんや」と言って。だからその人がもらったハリスで、ノーフォーク。ノーフォークのほんまもんを作りましたよ。
カーキの生地ですよね。格子の。もう生地は完売しました?
喜田 充 様
今年、完売。
良かったです。お客様とのつながりを濃く感じるので、そういったところが一番やりがいにつながってるんでしょうか?
喜田 充 様
コミュニケーション、ビースポークでちょっと話をしながら決めていく。せやけど忙しい人はそれを1回やったら大体分かるので、「1着目のノリで任せておくわ!グレーで作っとってくれ」という人がいるんですよ。
やっぱりやりたいことをするための服づくりというか、それだったらできないと言って結局みんな洋服のオーダー屋が衰退してるのはそこや、軽くちょちょっと書いてパッとできるなら楽やなと言って。そんなオーダーの服じゃないだろうというのはあります。
ミシンで縫ってもええねん、それはミシンで縫うんだから、良いミシンはいっぱいできてきてるし。職人さんはミシンで縫ったらいい。だけどそういうことです。
ハンドがいいという人がいるんだったらそれはそれでやっていく。体に合わせるのにはハンドでなくてもいける。本当はハンドがいいよ。それもナポリの老人のおばさんみたいなのが緩くところはいい加減に緩くね。言ってみればブリオーニみたいな。
肩が下がってる人とか上がってる人は関係なくフィットするって何なん!?みたいな。あれが本当だけど、それはちょっと難しいから、下がり肩、いかり肩、そういうのをみんないて、それでちゃんとやったら割とズバッとはまる。全然伸縮性のない服でも。きれいに何かきたらシュッとするなと思わせる。これはオーダーの醍醐味というか。
体に合いながら、かつ、その一人一人のお客様に対しての個性的なデザインの洋服ですよね。
喜田 充 様
縫製だけと違って裁断のテクニックとか、割合で前と後ろの背幅出しとけと。
喜田 充 様
そうそう。それも何回もやってやっぱり失敗を重ねているから大体数字的にも分かってくるんですよ。背幅だしといったらなんぼやとかね。そうやることによって何で?といって。
包み込むような着心地のいい服を作れるということですよね。
喜田 充 様
それが割と失敗してきたおかげで大体頭に入っているというか。感覚的にね。
みんな一人一人お客様で体系違いますからね。
お客様一人一人がモデルで、それに合わせておすすめする…。
喜田 充 様
そう。その要望と、お客さんにもまた次もあるし、そんなに安くしてくれるなら2着作っておくわ、また余計忙しくなる。やっぱりお金持ちは伸びたからね。だから例えばコロナというのは一番しんどいですよね。気分が乗らない。明けたでと言ってくれたら、やっぱりそれから忙しくなってきてるんだから。
洋服を作りたい、作ろうという気持ちになりますからね。
インタビューありがとうございました。